2023年11月23日(祝・木)に浦和競馬場で開催される交流重賞「浦和記念(Jpn2)」。
その浦和記念の全頭診断をしていきます。
浦和記念のレース概要
浦和のダート2000mで行われる中距離戦。JRAのチャンピオンズカップやJBCクラシックと日程が近いのでJRAの超一流といわれる馬は参戦が少ないレースです。地方所属馬で1,2着に入った馬には12月に行われる東京大賞典への優先出走権が与えられる。
過去10年でJRA勢が8勝、地方勢2勝と断然JRA勢が優勢。JRA勢の8勝のうち6勝が関西馬。JRA勢が人気に応えるケースが多いが、2014年サミットストーン、2015年ハッピースプリントと地方所属馬が優勝。サミットストーンは2015年にも浦和記念で2着に好走している。
この2頭に共通するのは、過去にJRA交流重賞で馬券に絡んでいる。地方所属馬を狙う場合は、JRA交流重賞での実績が必要。
浦和2000mのコースの特徴
浦和記念は浦和競馬場ダート2000mで行われます。向こう正面2コーナー付近からスタートしてコーナーを6回もまわるコースとなっている。スタートから最初のコーナーまでは300m。ただし直線は220mと短いので、逃げ先行馬が有利なコース形態となっている。3コーナー過ぎからレースが動くため、ここで動けるポジションに位置できるかが勝負のポイント。差し追い込みは効きにくい。
浦和記念で地方馬好走する条件は中央実績!
年度/着順 | 馬名 | 中央成績 | 主な実績 |
---|---|---|---|
2014年1着(3人気) | サミットストーン | 4-2-1-20 | JRA3勝クラスからの転入馬。ダイオライト記念3着、白山大賞典2着 |
2014年/2着(5人気) | グランディオーン | ー | ※地方成績:12-4-2-0 |
2014年/3着(7人気) | トーセンアレス | 5-1-2-10 | JRAオープンクラスからの転入馬。伏竜S(OP)1着 |
2015年/1着(2人気) | ハッピースプリント | 0-0-0-3 | ※地方成績:8-1-2-5 JDD(G1)、かしわ記念(G1)、帝王賞(G1)で3着の実績 |
2015年/2着(6人気) | サミットストーン | 4-2-1-20 | 2014年浦和記念優勝後、東京大賞典3着、川崎記念3着。前走JBCクラシック7着からの参戦。 |
2016年/3着(5人気) | ハッピースプリント | 0-0-0-3 | ※地方成績:8-1-2-5 2015年浦和記念優勝後、東京大賞典(G1)6着、かしわ記念(G1)7着 |
2017年/2着(2人気) | ヒガシウィルウィン | ー | ※地方成績:7-6-0-1 前走JDD(G1)優勝。全日本2歳優駿(G1)4着 |
2021年/2着(3人気) | タービランス | 0-0-0-1 | ※地方成績:15-10-3-5 2020年浦和記念4着、川崎記念(G1)4着 |
過去10年で地方所属馬で浦和記念で馬券内に入った馬は、中央馬との中央での出走経験や中央所属馬との交流重賞での対戦経験がある。特にG1で馬券内の実績は必要。
今年の地方所属馬の出走
馬名 | 中央成績 | 交流重賞成績 | 主な実績 |
---|---|---|---|
セイカメテオポリス | 未経験 | 0-0-0-6 | 白山大賞典4着(2022年)が最高成績。 |
シンコーマーチャン | 3-5-1-15 | 0-0-0-2 | 名古屋グランプリ10着2022年が最高成績。 |
スーパーフェザー | 4-4-5-20 | 未経験 | JRAオープンクラスから岩手競馬へ移籍。JRA時代は芝が主戦場。 |
ジョエル | 未経験 | 0-0-0-2 | JDD(G1)8着、東京大賞典11着 |
コウエイスーシェフ | 0-0-0-2 | 0-0-0-1 | JRA未勝利。名古屋大賞典11着 |
ヒーローコール | 0-0-0-1 | 0-0-0-1 | 伏竜S(OP)3着、全日本2歳優駿(G1)4着 |
エルデュクラージュ | 7-2-5-13 | 0-2-0-6 | JRAでオープンクラス・リステッド競争優勝、川崎記念(2022年)2着 |
好走条件である中央での戦績、交流重賞での実績がある今年の出走メンバーは、ヒーローコールとエルデュクラージュの2頭のみ。ただし、ヒーローコールについては2歳戦と3歳限定のオープン競走のレースということもあり実績的には評価しづらいところ。今年の出走メンバーで好走条件に当てはまる地方所属馬は、エルデュクラージュのみとなる。
浦和記念2023出馬表
馬番 | 馬名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 |
---|---|---|---|---|
1 | セイカメテオポリス | 牡5 | 56.0 | 笹川翼 |
2 | ミトノオー | 牡3 | 55.0 | 松山弘平 |
3 | シンコーマーチャン | 牡9 | 56.0 | 大畑慧悟 |
4 | メイショウフンジン | 牡5 | 56.0 | 幸英明 |
5 | スーパーフェザー | セ8 | 56.0 | 秋元耕成 |
6 | ジョエル | 牡5 | 56.0 | 所蛍 |
7 | テンカハル | 牡5 | 56.0 | 坂井瑠星 |
8 | コウエイスーシェフ | セ8 | 56.0 | 浅野皓大 |
9 | ヒーローコール | 牡3 | 54.0 | 森泰斗 |
10 | ディクテオン | セ5 | 56.0 | 本田正重 |
11 | テイエムサウスダン | 牡6 | 56.0 | 柴山雄一 |
12 | エルデュクラージュ | セ9 | 56.0 | 矢野貴之 |
メンバーを見渡すとJRAからG1優勝経験のある実績馬やJBCクラシックからの参戦馬も不在。メンバーレベルとしては、オープンクラス勝ち負けレベルの馬が集まった印象。交流重賞の実績でも、ミトノオーがジャパンダートダービ―3着、メイショウフンジンが白山大賞典2着と実績面では強調できる材料ではない。
浦和記念2023全頭診断
S評価
メイショウフンジン 幸英明
白山大賞典2着からの参戦。白山大賞典1着ウィルソンテソーロが、次走JBCクラシックで5着。そのウィルソンテソーロに0.1秒差であれば、今年の浦和記念のメンバーでは1枚実績が抜けている。
その白山大賞典は、前半から出していって逃げる展開。終始ケイアイパープルに番手でマークされる形になり手応えが怪しくなるも4角先頭からウィルソンテソーロと一騎打ち。一瞬盛り返そうと抵抗して見せ場十分のレース。同レースにセイカメテオポリスが出走していたが、1.9秒差つけており能力差は明らか。
小回りで逃げ先行馬有利の浦和も合いそう。盛岡や船橋の交流重賞で3着の成績からも左回りは問題ない。ここは連軸に最適。
エルデュクラージュ 矢野貴之
地方所属馬からは中央時代にオープン実績があり、2022年の川崎記念でチュウワウィザードの2着の実績面は出走メンバーで1番。ただし年齢が9歳となり、年々徐々にパフォーマンスが低下しているのは否めないが、今年の報知オールスターカップ後の敗因は明確。
- 川崎記念:メンバーレベルが強力で度外視
- ダイオライト記念:勝ち馬圧勝も2着テリオスベルと0.3秒差、3着メイショウフンジンと0.1秒差の4着。悲観する内容ではない。
- 大井記念:重・不良馬場の高速決着は不得手
- 短夜賞:1700m戦で距離不足
- 埼玉新聞栄冠賞:最初のコーナーで逃げ馬の後ろを取れず先団の後ろ5番手を追走。直線入口の手応えは抜群も早めに抜け出せずに追い比べに負けて4着。
エルデュクラージュの好走パターンは、以下の通り。
- 左回り2100m前後のレース。
- JRAで好走歴はあるが、時計が速くなる重・不良馬場は苦手なので良馬場。
- 理想は2022年川崎記念のように、早めに抜け出して押し切るレース。
- ラスト1Fの脚は鈍くなるので、追い比べには負ける。ラスト1F時計がかかる展開が理想。
今回は、メイショウフンジンが引っ張る流れとなり、そこにミトノオー、ヒーローコールの3歳勢とジョエルがどこまで絡むかどうかだが、メイショウフンジンが多少強引でもハナを取りに行くと見る。緩いペースで逃げるとは思えない。ラスト1Fの時計がかかる展開になると見込んでいるのでエルデュクラージュに向く展開になると見てる。鞍上も報知オールスターカップで地方重賞初勝利に導いた矢野騎手に乗り替わり。地方移籍当初は、浦和記念・ダイオライト記念が目標だと思っての移籍だったので、年齢的にも今年が勝負と見る。
A評価
テンカハル 坂井瑠星
前述の通りラスト1Fの時計がかかる展開であれば、末脚が活きる馬が台頭してくるはず。日本テレビ盃で船橋の馬場を経験しており、そこでウシュバテソーロに0.5秒差2着ならこのメンバーでは威張れる存在。2000mの距離も問題ないが、位置取りがポイント。日本テレビ盃でも位置取りが後ろだったので差し遅れだけが懸念。
ディクテオン 本田正重
ブリリアントSで優勝。脚質的にもテンカハルと同じで、ダノンラスターと差のない競馬をしている点でも能力差はそれほどない。鞍上がムーア騎手から本田正重騎手に乗り替わりで、浦和でムーア騎手が見れないのは残念だが脚質が決まっているので浦和での騎乗経験がムーア騎手よりも豊富で仕掛けどころも分かってはいる分、本田正重騎手でも問題ないとは思う。あとはテンカハルと同様で仕掛けのタイミングだけ。
B評価
ミトノオー 松山弘平
ジャパンダートダービ―3着の実績を評価するなら抑えておく必要はある。前走の日本テレビ盃は、逃げることができたものの早々にスワーヴアラミスとウシュバテソーロに捉えられて1.9秒差6着に惨敗。古馬との初対戦とは言え、能力差がハッキリとした負け方は評価に値しない。幸いなことに、今回はメンバーレベルが落ちるので楽に逃げることができたら小回りの浦和ならそのまま逃げ残りの可能性もあるので抑え。
セイカメテオポリス 笹川翼
大井で大井記念、東京記念と重賞連勝。前走の交流重賞の白山大賞典では、見せ場もなくウィルソンテソーロから2.0秒差6着に敗退。金沢の馬場が合わなかったのかもしれないが、それにしても負けすぎ。メイショウフンジンの逆転は難しいと見るのが妥当。
消し馬
シンコーマーチャン 大畑慧悟
今年デビューの新人騎手・大畑慧悟が鞍上。名古屋で今年36勝と新人としては勝ち星を重ねているが、さすがにここは経験だけ。
スーパーフェザー 秋元耕成
芝実績は評価できるが、ここでは条件的に厳しい。
ジョエル 所蛍
前走は強い競馬。同じ舞台で好走できたのはプラス。所蛍騎手も今年デビューの新人。普通に考えたらここは経験だけ。短夜賞でエルデュクラージュに先着もしており、脚質的にも狙いたいが同型馬が前走よりも強力なので消し。
コウエイスーシェフ 浅野皓大
能力足らず。
ヒーローコール 森泰斗
黒潮盃、戸塚記念と3歳重賞を連勝。勢いはあるが、伏竜Sでミトノオーとの0.8秒差からも能力的には厳しい。地元ではあるが、浦和もデビュー戦以来となるのもどうか。地方所属馬同士の重賞ならまだしも中央オープンクラスの相手に先着するイメージは湧かない。
テイエムサウスダン 柴山雄一
残念ながら旬が過ぎてしまった。この距離に挑戦するのも意味不明。
浦和記念2023レース結果
全頭診断、A→B→Aの結果に
勝ったミトノオーが逃げる展開になるも先行勢には少し苦しい展開に。結果的にJRA勢のワンツースリー。
馬券は…
S評価のエルデュクラージュからワイド厚めに買いましたが、無残にも散りました。
浦和記念2023レース回顧
【地方馬場合う】ディクテオン
→向こう正面から長くいい脚を使う。地方の力のいる馬場も合っている。
【評価見直す】ミトノオー
→逃げて先行勢に厳しい展開も残り2着。3歳で馬券内に来た馬はその後結果を出しているので注目。パドックは前走より良かった。
【敗因不明】テンカハル
→敗因が掴みづらい。ディクテオンくらいの脚は使えると思ったが、展開向くも伸び悩んで3着。
【来年ワンランク上へ】ヒーローコール
→予想よりも善戦。少しずつであるが力をつけている。来年以降、この経験が活きてくれば交流重賞でも渡り合えるかも。
【展開向かず】メイショウフンジン
→逃げることもできずに内を立ち回る展開に。自分の展開に持ち込めなかったのが敗因。
【見せ場なし】セイカメテオポリス
→地方交流重賞では厳しいか。
【衰えあり】エルデュクラージュ
→衰えが見えてきた。
【厳しい】テイエムサウスダン
→パドック・返しは活気あるが結果が出ない。やはり厳しい。
【芝か?】スーパーフェザー
→芝馬だと思う。
【力不足】ジョエル
→ここでは力不足。騎手の経験にはなった。
【力不足】シンコーマーチャン
→ここでは力不足。騎手の経験にはなった。
【力不足】コウエイスーシェフ
→敷居が高すぎる。