2023年1月25日(水)に大井競馬場で開催される2023年最初の重賞となる牝馬限定のダートグレード競争「第26回TCK女王盃(Jpn3)」。
上位2頭(地方所属馬に限る)にはエンプレス杯への優先出走権が与えられます。
そのTCK女王盃の重賞展望と過去の傾向、全頭診断を紹介していきます。
TCK女王盃のレース概要
26回の歴史を誇るTCK女王盃ですが、ダート競争の体系整備の関係で、来年からは園田競馬場で「兵庫女王盃」として開催されるので、「TCK女王盃」というレース名での開催は今年が最後となります。
TCK女王盃を2連覇中のJRA所属の川田将雅騎手が、今年はグランブリッジ(牝4)で参戦。他にも昨年のJBCレディスクラシックの勝ち馬ヴァレーデラルナ(牝4)、前走で船橋のクイーン賞でグランブリッジに勝ったテリオスベル(牝6)などJRA所属馬が5頭参戦。地方所属馬がコスモポポラリタとマルカンセンサーの2頭だけと寂しいメンバー構成となったが、実力均衡で騎手の駆け引きで着順が変わってきそうで難解な一戦が予想される。
大井ダート1800mのコースの特徴
TCK女王盃は大井競馬場ダート1800mで行われます。ゴールの200m手前からコーナー4つを回る外回りコース。直線も長く386mと差し・追い込み決着となりやすいコース形態です。
逃げ・先行馬が揃うと1コーナーまで200mほどであることから多頭数の場合は位置取りが激しくなると、差し馬有利の展開になりやすい。逆に逃げ・先行馬の隊列がすぐに決まると逃げ切りも決まるが、基本的には残り1000m付近からペースが上がり、3コーナー過ぎから仕掛ける馬が出てきて持久力が問われます。
TCK女王盃2023出馬表
7頭立てということもあり枠の有利不利は特に考える必要はないです。レース展開は、テリオスベルの出方次第といったところ。スタートが決まればテリオスベルが逃げる可能性は高いが、最近はスタートが全然決まらず後方から途中で捲っていくレースをしている。
テリオスベルの出方次第でレースの流れが大きく変わってくる。
過去10年の1着~3着馬
年度 | 1着 | 2着 | 3着 |
---|---|---|---|
2022年 | テオレーマ(JRA) | ショウナンナデシコ(JRA) | ブランクチェック(JRA) |
2021年 | マルシュロレーヌ(JRA) | レーヌブランシュ(JRA) | プリンシアコメータ(JRA) |
2020年 | マドラスチェック(JRA) | アンデスクイーン(JRA) | メモリーコウ(JRA) |
2019年 | ビスカリア(JRA) | マルカンセンサー(大井) | ラビットラン(JRA) |
2018年 | ミッシングリンク(JRA) | ブランシェクール(JRA) | ラインハート(大井) |
2017年 | ワンミリオンス(JRA) | リンダリンダ(大井) | ホワイトフーガ(JRA) |
2016年 | ホワイトフーガ(JRA) | パワースポット(JRA) | タマノブリュネット(JRA) |
2015年 | サンビスタ(JRA) | アクティビューティ(JRA) | ソーミラキュラス(JRA) |
2014年 | メーディア(JRA) | ワイルドフラッパー(JRA) | カラフルデイズ(JRA) |
2013年 | メーデイア(JRA) | アクティビューティ(JRA) | レッドクラウディア(JRA) |
過去10年でJRA所属馬が10勝と勝ち馬はすべてJRA所属馬。地方所属馬は過去10年で2着2回、3着1回であることからも馬券の中心はJRA所属馬で組んで間違いない。ましてや今年は、コスモポポラリタはクイーン賞でテリオスベルとグランブリッジに大きく離された3着、マルカンセンサーは2019年に当レース2着はあるもののその後2021年4着、2022年8着と着順を落としている。さすがに8歳馬で近走の戦績からも推せる材料が見当たらない。
過去10年の年齢別データ
馬齢 | 1着 | 2着 | 3着 |
---|---|---|---|
4歳 | 4 | 3 | 2 |
5歳 | 2 | 3 | 5 |
6歳 | 3 | 2 | 1 |
7歳 | 1 | 0 | 1 |
8歳 | 0 | 2 | 1 |
年齢別でみると4歳~6歳馬が多く馬券に絡んでいる。高齢馬は苦戦傾向にある。
TCK女王盃2023の調教動画
TCK女王盃2023全頭診断
S評価
グランブリッジ(想定1人気)
ここまで主戦だった福永祐一騎手から川田将雅騎手に乗り替わり。TCK女王盃2連覇中の川田騎手であるので、この乗り替わりはマイナス要素ではないかと。中間の調教でも跨って感触を得ているから心配はいらない。今回の不安材料は前走から斤量が2kg増えて56kgとなることか。ただし、これはヴァレーデラルナにも同様のことが言えるし、古馬勢も1kgほど斤量が前走から増えている。馬格があまりない馬だが55kgでもブリーダーズゴールドカップで結果も出しているから問題ない。
ここまでダートだけを使われてきて[4-2-2-1]とそこを見せていない。(着外に負けたのも新馬戦だけ。)前走のクイーン賞は、テリオスベルに0.4秒差で敗れはしたものの外々を回る形となり厳しくなったのが敗因か。最後は差を詰めてきただけに悲観する内容ではない。2走前はJBCレディスプレリュードはスタートで躓いて、このレースも最終コーナーで外々を回る形で2着。負けて強しの内容であった。連軸には適している。
ヴァレーデラルナ(想定2人気)
前走のJBCレディスクラシックでは、今回出走するテリオスベル、グランブリッジ、プリティーチャンスを負かして1勝クラスから4連勝でG1勝ちをおさめた。そこから一息入れて、今年はTCK女王盃からの指導。中間の調整も順調でキャリア10戦の明け4歳馬。今年のダート牝馬路線はこの馬を中心に回っていく可能性が高い。
未勝利勝ち後は4戦連続2着も、負けた相手がハセドン(青龍S1着)、ノットゥルノ(ジャパンダートダービー1着、東京大賞典1着)、ペイシャエス(ジャパンダートダービ―2着、JBCクラシック3着、名古屋グランプリ1着)と現4歳牡馬のダートの中心を担っている馬が相手。それらと差のない競馬をしているのは見逃せない。今回はスタート次第では逃げる展開になる可能性がある。その場合、テリオスベルが道中捲ってきた時にどう対処するかがポイントとなりそう。そこさえうまくパスできれば勝機はある。
A評価
プリティーチャンス(想定4人気)
昨年10月に同じ舞台で行われたレディスプレリュードでテリオスベル、ショウナンナデシコを負かして初の重賞タイトルを獲得。3走前の門別で行われたブリーダーズゴールドカップではグランブリッジにクビ差及ばず2着だったもののテリオスベルには3馬身差をつけている。実力は今回の出走メンバーとほぼ互角と言える。
前走のJBCレディスクラシックこそ5着に負けたものの左回りでモタれる癖があり、それでいて勝ったヴェラーデラルナと0.3秒差は悲観する内容ではない。鞍上のC.デムーロ騎手もレース後に「道中はいいポジションだったが、最後の伸びを欠いたのは左に刺さった分だと思う」とコメント。左回り[1-1-1-5]に対して右回り[4-1-1-6]と右回りの方が戦績が良い。右回りに変われば、展開次第で十分勝ち負けになると見ている。
最終追い切りについては、強めとは言えほぼ馬なりでの調整、全体時計はレディスプレリュードの調整過程とほぼ同じで一週前に坂路、当週CWで追い切り。負荷はそれほどかけずに馬なり調整で、レディスプレリュードよりも全体時計を出せているので調子は変わりなくきていると見る。
レディスプレリュード:栗東CW 良 99.6-69.1-54.1-38.3-11.7(強め)
TCK女王盃:栗東CW 良 96.1-66.9-53.4-38.9-12.0(強め)
展開的には、テリオスベルが捲る展開で先行勢に厳しい流れになるようなら展開は一番向く。ただし、鞍上がムルザバエフ騎手にスイッチ。ここまでJRAで6勝をあげて東海Sではプロミストウォリアで逃げ切り勝ちと勢いにのっている。全6勝のレースを見てると基本的には4角6番手以内で先行して押し切る騎乗スタイル。今回、テリオスベルが仕掛けた際についていくような形を取りそうな気もするので、そうなると最後脚が鈍る可能性もある。地方での騎乗も初めてであることからも未知数な点が気がかり。
テリオスベル(想定3人気)
レース展開の鍵を握るのがこの馬。逃げるのか、近走のように途中から捲っていくのかでレース展開が大きく変わる。今回は少頭数ということもあり、他馬がハナを主張しなければスンナリ逃げる形を作れる可能性は高い。前走こそ逃げれたが、やはりスタートからの二の足がつかない。今回もおそらく最初のコーナー過ぎてから早めに捲る展開が予想される。あとは最後まで押し切ることができるかどうか。前日までの大井競馬場の馬場、比較的先行馬有利の馬場。その馬場の状態であれば、最後まで押し切れる可能性はある。
B評価
ナンヨーアイボリー(想定5人気)
ダート転向後7戦すべて1400mを選択。今回初めて距離延長となるので、距離延長がどうかがポイント。それとすべて中京・東京の左回りしか使ってきていないので、ダートでは初の右回りがどうか。芝のレースになるが、[0-0-0-6]。21戦のキャリアがあるが、その多くが左回りを使っていることから右回りに不安があると見るのが当然。テリオスベルがレースを乱して、上位陣の一角が崩れるようであれば漁夫の利で馬券内に来る可能性はあるかもしれないが、展開に恵まれないと厳しい。
無印
コスモポポラリタ(想定6人気)
北海道競馬で重賞2勝して南関東に移籍。移籍当初は力を発揮できないレースが続いていたが、移籍4戦目の東京プリンセス賞で2着と好走してからは、勝ち星こそなくても距離を伸ばして2000m前後で結果を残してきている。2走前のクイーン賞でテリオスベルから4.1秒差の鯛さで敗れていることからも、ここでは役不足感が否めない。ここは出番がないと見る。
マルカンセンサー(想定7人気)
2019年のTCK女王盃では、単勝253.4倍(9人気)の低評価を覆して2着に好走。2021年4着、2022年8着と3回TCK女王盃に出走している古参。今年は少頭数ではあるものの8歳という年齢を考えるとここで出番があるとは思えないので軽視。
TCK女王盃2023の予想
◎ヴァレーデラルナ
○グランブリッジ
▲テリオスベル
☆プリティーチャンス
とにかく人気通りの決着は間違いない。あとは順番と馬券を買う上での券種。ここはヴァレーデラルナの力を信じて頭固定の馬単2点、3連単4点を推奨。
馬単◎→○▲、3連単◎→○▲→○▲☆
TCK女王盃2023レース結果
S→S→A→A→B評価で決着。
テリオスベルがいつものように出遅れ気味でスタートで後手を踏んで、1コーナーまではヴァレーデラルナが先手を奪う格好になるも1コーナー過ぎからテリオスベルが捲って先手を奪うレース展開に。少頭数なだけに向こう正面で捲っても良かったように結果的には思う。ヴァレーデラルナは、無理にテリオスベルに合わせず離れた番手で追走。ヴァレーデラルナをマークしていた川田騎手騎乗のグランブリッジが4コーナーで射程圏に入れて、ヴァレーデラルナをゴール直前で交わして1馬身差の快勝。
少頭数で人気通りの結果となった。