JBCクラシックの覇者「テーオーケインズの1強」。
チャンピオンズC(G1 12月4日/中京・ダート1800m)の戦前は、このように多くのメディアがテーオーケインズ”1強ムード”だったが、蓋を開けてみれば4着と馬券外に敗れた。
勝ったのはダート転向4戦目でG1馬まで昇りつめた3番人気ジュンライトボルト(牡5 友道厩舎)、2着3着には3歳馬のクラウンプライド(牡3 新谷厩舎 4番人気)とハピ(牡3 大久保厩舎 6番人気)。この3頭にどうして先着を許したのか?
この結果に対して分析してみよう。
チャンピオンズC 着順とレースラップを分析
- ジュンライトボルト(石川) 1:51.9
- クラウンプライド(福永)クビ
- ハピ(横山典)1.1/4
- テーオーケインズ(松山)クビ
- シャマル(川田)1.1/2
- サンライズホープ(幸)3/4
- スマッシングハーツ(鮫島駿)クビ
- ノットゥルノ(武豊)アタマ
- オーヴェルニュ(ルメール)ハナ
- タガノビューティー(石橋脩)クビ
- レッドガラン(斎藤)1.1/2
- グロリアムンディ(ムーア)1/2
- サクラアリュール(酒井)1
- バーデンヴァイラー(レーン)1/2
- サンライズノヴァ(松若)1/2
- レッドソルダード(丸山)7
レース映像
上り最速は勝ったジュンライトボルト(3F36.2秒)。2位がクラウンプライド、ハピ、サンライズホープの3頭(3F36.7秒)。3位がテーオーケインズ、タガノビューティーの2頭(3F36.8)。上りはジュンライトボルトこそ抜けているがそれ以外は、0.5秒以内に12頭と位置取りやロスによって着順が上下した結果となった。
勝ちタイムは過去10年で最も遅い1:51.9
今回のレース過去10年(2012年~2021年 ※2012年・2013年は阪神ダート1800mで開催)を振り返っても最も遅い1:51.9の決着。これまでの最遅が2014年の1:51.0(勝ち馬ホッコータルマエ)だったことからも勝ち時計は最も遅かった。
レースラップ(2022年) 中京ダート1800m 良
200m | 400m | 600m | 800m | 1000m | 1200m | 1400m | 1600m | 1800m |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
12.7 | 11.2 | 13.1 | 12.8 | 12.6 | 12.6 | 12.7 | 11.9 | 12.3 |
レースラップ(2014年) 中京ダート1800m 良
200m | 400m | 600m | 800m | 1000m | 1200m | 1400m | 1600m | 1800m |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
12.6 | 11.7 | 13.2 | 12.9 | 11.9 | 12.2 | 12.4 | 11.7 | 12.4 |
2014年と比較しても800m~1200mまでのラップタイムの合計が2014年よりも1.4秒も遅い。明らかに道中のラップが落ちている。逃げたのがレッドソルダードで、主にダート2000m前後の距離を逃げ・先行してきた馬。その馬がレースの主導権を握ってしまったのが、レースタイムが遅くなった主な要因だろう。どの馬も脚が溜まっていたため、上りタイムの差が出なかった。
ちなみに過去10年で最も勝ち時計が速かった2019年のチャンピオンズC(勝ち馬クリソベリル)のラップタイムは以下の通り。
レースラップ(2019年) 中京ダート1800m 良
200m | 400m | 600m | 800m | 1000m | 1200m | 1400m | 1600m | 1800m |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
12.8 | 11.3 | 12.5 | 12.1 | 12.1 | 12.0 | 12.0 | 11.6 | 12.1 |
2019年のチャンピオンズCと比較すると明らかに道中のレースラップが緩んでいるのが分かる。
ジュンライトボルトは正真正銘のチャンピオン?
2022年のレースラップで後方から差し切るのはほぼ不可能に近い。
ただし、勝ち馬ジュンライトボルトは10番手を追走。2着クラウンプライドが2番手、3着ハピが4番手追走だったことを考えると、ジュンライトボルトがあの位置から差し切るのは相当力が抜けていないとできない芸当。
今回のジュンライトボルトの勝利をフロック視する必要は無く、正真正銘のダート王者として評価できる結果だ。
テーオーケインズの敗因は、位置取りの差
今年のチャンピオンズCは、前述の通りスローで流れたレースだったので位置取りの差が大きく着順に影響した。
テーオーケインズは6番手を追走。先行有利の流れで6番手と好位追走していたにも関わらず直線伸びきれず4着に敗れたのはなぜなのか?
これには明確な理由が存在します。パトロールビデオをよく見るとテーオーケインズと上位馬とは明らかに距離ロスがあり、中京ダート1800mの鉄則の負けパターン「4角外捲りでは直線伸びない」パターンに嵌ってしまった。
チャンピオンズC2022パトロールビデオ
1コーナー
スタートでテーオーケインズが出負けしたことによって、必然と1コーナーでは内から4頭目の外を回ることになる。ここでノットゥルノが引けば当然内に入れることができるが、百戦錬磨のノットゥルノ鞍上の武豊騎手がそれをさせることはなかった。対してハピは好スタートからインを取り、クラウンプライドも2番手外を追走するポジションを取れた。勝ち馬ジュンライトボルトは好スタートも外の馬が早くて、位置取りは後ろに。
2コーナー
2コーナーもそのままの隊列で、テーオーケインズは内から4頭目を唯一追走する形になる。
向こう正面
向こう正面の隊列は内から2頭目までにハピ、クラウンプライド、ジュンライトボルトがおさまってるのに対して、テーオーケインズのみ外4のポジション。この位置にテーオーケインズがいることで、中団から後ろの馬がここで動こうとも動けない状況となる。
つまり、今回ここでテーオーケインズが唯一外4にいることが原因で、捲る馬もおらずペースが上がらなかったのが分かる。後ろにいるバーデンヴァイラーやタガノビューティーは、外から捲っていく馬ではないことも結果として道中のラップが緩み先行馬有利の流れになった。
中京コースの向こう正面途中までは、上り坂でもあるのでここで脚は使いたくはないことも影響している。
3コーナー
3コーナーでも後ろからサクラアリュールが捲ろうとはするものの隊列は変わらず。
中京ダートでここで捲ると最後脚が残らないのは有名な話。それは騎手も分かっている。
2,4コーナーはスパイラルカーブで下り坂。ここで外から捲っていこうとすると4角入口では外に膨れて距離ロスもあり、さらに直線の高低差2.2mの上り坂で脚が止まる。
当然ここでもテーオーケインズは動くはずがない。いや、動けないが正しい。
直線入口
そして4コーナー入口も上位馬の中でテーオーケインズは外4を回る結果に。勝ち馬のジュンライトボルトも最後は外に出したが、4コーナー入口では内から3頭目までを進んでいる。当然、クラウンプライド、ハピも同様だ。
道中のラップが遅くなり、ペースを崩す馬がいなければ、内前をロスなく運んだ馬が上位に来るのは必然。
それでもあのポジションならテーオーケインズが弾けるイメージも昨年の結果からはあったんだが…
松山騎手のレース後コメント
「スタートはなんとかギリギリ出て、ポジションも思った位置が取れた。ただ、勝負どころで反応しきれなかった。思ったより一杯一杯になってしまった。返し馬の感じも良かった。落ち着きがいい方に出ればと思っていましたが。精一杯の走りはできましたが、結果については申し訳ありません」
netkeiba
昨年は3枠からの競馬。今年は6枠。若干外ではあったが、取ったポジションが明暗を分けた結果になりましたね。
「前走を使って調子が戻り切らないところがあった」
「中京は得意コースなので何とか本番までに戻り切ってくれれば」
上記のように一週前時点では、松山騎手がコメントしていましたが、レース後のコメントを見る限りなんとかギリギリ間に合ったといった感じだったのかもしれません。
今年のチャンピオンズカップは、今後中京ダート1800mで行われる際に、スローの展開が予想される際は参考ケースになり得る題材。ペースや枠順、メンバー構成によって展開利が違うので、その辺りを頭に入れながらチャンピオンズカップを予想したい。
馬券はハピ軸で的中!
馬券は珍しく当たった時くらいは自慢していいと聞いているので、ワイド2点と3連複的中できました!